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残酷な真実
散々喘がされ、無理矢理抱かれた。
目が覚めると俺は、手錠で手の自由を奪われた状態でベッドに寝がされていた。
全身の筋肉が痛く、ダルい。
今何時だ······?
母さん、心配してないといいけど······
そんなことを考えていると和哉が俺の顔を覗き込む。
「綾人、水飲む?」
「いらねぇよ。さっさとこの手錠を外せ······」
一線を越えたのに、嫌がる俺を無理矢理抱いたくせに、なんでそんなに平然としてるんだよ······
俺は初めて人は怒りが基準値を越えると、逆に冷静になれると知った。
「そうだ。綾人に大切なお知らせがあるんだ」
和哉は俺の言葉を無視してそんなことをほざく。
「大切なお知らせ······?」
「そう。まず日和さん─綾人のお母さんがね、この度めでたく本命と結ばれたんだ」
母さんが······
たしかに大切なお知らせだが、なんでお前がそんなこと知ってる?
まぁ女手1つで俺を育ててくれたし、母さんには幸せになってほし──
「ちなみに、その相手はうちの母さん」
「······はっ?」
一瞬、思考が停止してしまった。
「知ってた? 2人は学生の頃、付き合ってたらしいよ。でも、母さんは父さんとの政略結婚のせいで別れるしかなかった」
「母さんと、彩さんが······」
「ビックリだよね。でも、同時に納得したよ。俺たちの名前、互いの母親の名前から取ってるし」
「あっ······」
俺の母さんの名前は日和で、和哉の母親の名前は彩······
和哉と綾人。
2人はどんな心情で、俺らにこんな名前をつけたんだろうと考えてしまった。
今はそんな場合じゃないのに······
「当然、父さんと母さんとの間に愛はない。だから父さんは母さんに、俺が正式に跡継ぎになるって決意したら離婚して自由になっていい約束したんだ。そして俺は、母さんにある条件を満たしたら跡継ぎになってもいいって言った」
淡々と和哉が語るのは、まるで昼ドラのようにドロドロした家族関係だった。
そして俺は、和哉が提示したというその条件になぜか嫌な予感がした。
「その、条件って······?」
「綾人が俺のものになったらって」
「······」
気が遠くなるかと思った。
なんだよ、これ······
犯されて、拘束されたままとんでもないことを色々知ってしまった。
それも、知りたくなかった事実ばっかり······
「父さんに正式に跡継ぎになるって宣言したから、母さんは念願の離婚。母さんと日和さん、喜んでいたよ。日和さんなんて『適当に男ひっかけて、彩と同い年の息子を産んでおいて正解だった!!』って泣きながら──」
「言うな!! これ以上は聞きたくない······!」
母さんが顔も知らない俺の父さんを愛していないことは知っていた。
そして1度父親のことを聞いたら不機嫌になったので、なにか事情があることは察した。
『綾人。お母さんはね、心から大好きな人がいたの。だから、その人のためならなんだってするわ』
その言葉を聞かされた時、俺は理解した。
俺は1番にはなれないと。
虐待とかはなかった。
でも俺は、なんとも言えない寂しさをいつも抱えていた。
それでも母さんには好きな人と結ばれてほしいと思っていた。
俺は同性でも別に偏見もないし、喜んで母さんを祝福する。
でもこんな形は望んでないし、祝福なんてできるかよ······!!
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