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時よ
淡白く膨らむ
ひこうき雲の道を
私たちはゆくの
笑いながら
時代に散った
少年の命に
ひと房の黒髪を
捧げる祈りと
この世界へ
たどり着いた日は
濡れた睫毛重たく
朝露を吸う羽虫より
軽かった恋や愛を
彷徨うつま先に
宿してスキップ
きっと見つけて
届けます
窓の外は水族館
揺蕩う海月に似た
血管を沸騰させ
生きた理由を
悲しませたくない
波よその腕に抱く
全ての想いを
どうか消さないで
ここで手を振り
ずっと覚えているよ
沈んだ船の魂が歌う夕暮れを待つように花は咲いていた
![00fbec30-98d7-47bd-b780-4dc2757f3f05](https://img.estar.jp/public/user_upload/00fbec30-98d7-47bd-b780-4dc2757f3f05.jpg?width=800&format=jpg)
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