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奏
小鳥の羽ばたきは拍手
揺れる草木が指揮を取る
心拍を伴奏に
歌うブリキの私
軋むビブラート
さざ波が運ぶホルンの調べ
重たい頭が時々傾く
ザラザラとめくれた頬は
雨の日の名残り
フルスピード出してクレッシェンドに加速して飛べよ飛べ
お部屋にはリボンのついた
プレゼントの箱がそのまんま
失くし物をあまりにし過ぎた
全て怖くて喜べなかった
僅かな力を振り絞り
五線譜に指先で書いたあの日の
さよならの効力は
飛行機雲割ってピアニッシモな光浴びるまるで深海よ、ここ
真実に貫かれ吹き上がる血を
見ていたいの涙を思い出すまで
痛み止めは要らない
甘やかに濁さないで
この曲がストレットで終わっても
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