アキと私

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 アキは小学五年のとき、転校生として私のクラスにやってきた。  同じ年頃の子の中では静かで大人びていたアキは転校生加点満点で、すぐにクラス中の子たちに囲まれた。かくいう私も、久しぶりの転校生を物珍しく見ていたひとりだった。  けれど、誰に対しても平等に歯に衣着せないタイプだったアキは、敵を作るのも異常に早かった。「ちょっと目立つ転校生」は、電光石火の勢いで、その日のうちに「変なやつ」に称号を変えていた。  仲よくなったのは、たまたまだった。  アキが転校してきてから二週間くらい経ったころ、予定外れの大雨が降った日のこと。  私は、何日か前に置き忘れた傘を学校に置いたままだった。  生徒玄関には親のお迎えを待つ子や私のようにたまたま傘を持っていた子が行き交っていた。そのなかで、アキは雨を睨むように、ただまっすぐ前を見て立っていた。  私は、いつも一緒に帰っていた子たちがお迎えでひとりだったのもあって、特に深い意味もなく、アキに声をかけた。  アキ一家が越してきたのが私の住むマンションと同じことは、お母さんに聞いて知っていた。そこは学区の一番端で学校からはかなり距離があり、とても濡れて帰れる距離ではなかった。
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