3章

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 法子は一張羅に着替えて、もう一度タイマーで自分の写真を撮った。今度は少し良い表情に見えた。紫の頭巾を商店街の古着屋で見つけて被ってみたのだ。顔が隠れて影が出ることで、神秘性が増した。その頭巾の中でほんのりと笑ってみると、悟りの境地に達していそうな顔になった。満足して、それをプロフィール画像と、壁紙に設定した。  これにて、一応は自分のホームページなるものができた。料金設定をどうしようかと思ったが、一時間六千円〜八千円の人が多かったので、法子は自分の料金設定を五千円にした。最初はとにかく来てくれないと話にならない。正直、五千円という価格でさえも高いと思った。  そこそこ納得いくホームページができ、占いにそれなりの自信もあるが、兎にも角にもまだこの分野では新人である。だが自分の顔や、プロフィール、そして法凜という名前を照らし合わせて見ると、我ながらとても新人という感じには見えなかった。  あとは、相談希望のお客様が来るのを待つだけである。その日、法子は二十分おきくらいのペースでメールの受信箱を見たが、その日のうちは、他の占い師や企業からの営業メールしか来なかった。じれったく思った。  法子は学生時代に好きな男子からのメールを待っていたときの感覚を少し思い出した。  遠い日のことだ。
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