紫の雨

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「千手観音の仲間かな」  半笑いでページをめくると、リモコンは一ミリも関係のない解説書だった。 「なにこれ……雑技団?」  あまりに衝撃的で、開いた口が塞がらなかった。  これじゃないよと次のパウチに手を伸ばす。 「……オススメのラブグッズ? コンビニボックスにあります? なにこれ」  どうやって使うのかまったくわからないけど、形状や説明書きがとてつもなく卑猥であることはわかった。  説明書なくてもいいやと、とりあえず電源ボタンを押した。  AVだった。  いきなりさっきのマッサージ器具が使われていて、血の気が引いた。触らなくてよかった……。  そのうち、前に紫雨ちゃんに言われた行為が映し出された。言葉の意味は調べたけど、動画で観るのは初めてだった。 「え……二人?」  当然、一対一だと思っていたのに男性が二人いた。  勉強するつもりでいたけど、肝心なところはぼやけていて観えない。  ただただ女性が苦しそうで、あたしが吐きそうになった。「うっ」と口元を手で押さえる。 「マジでホラー観てるみたい」  お風呂を終えた紫雨ちゃんが、あたしの様子を見て笑っていた。 「あのマッサージ器で何するかわかった?」 「うん、わかったよ。でも、いけないものを見た気分。勉強にもならなかったし」 「そっか。まあ、きいちゃんは余計な知識入れない方がいいよ。そのままで」 「とか言って、そんなの小学生でも知ってるってバカにするくせにぃ」  あれは地味にショックだった。
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