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そう言ってから雪乃は付け加えた。
「でも鬼は邪気が濃いから、祓刀で本体を斬ることは出来ても邪気の浄化まではできないんだと思う」
「でもそれと命様の問題と何の関係が……」
理人が口にすると雪乃は即座に返答する。
「遠く離れた場所で私たちが斬った鬼の邪気が命様に蓄積するってことは、この祓刀を介して命様に邪気が送られているとしか説明がつかないの。この本殿には命様の結界が張られているから、本来であれば邪気が入ってこられるはずがないもの」
「あっ、そうか……」
「そうなるとやっぱり『私達が祓刀で鬼を斬る』っていう行為が、命様の石化につながってるってことですよね」
「鬼は神力を宿した祓刀でしか斬れないと言うのは実証されておる。それゆえ、武器の発達した現代においても我ら隠密機動隊が存在するんじゃ。我らが鬼を斬らねば、この世は鬼の棲み処になってしまう」
高良はそう言ってオロオロとうろたえる菜々花をなだめた。
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