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4現実
「こんな感じで、まずは元担任と再会して、その後に元カレの弟とも再会して……」
「偶然が続きすぎだよね。でもまだまだ、シズの偶然はこんなものじゃないんだよ」
「そうなんですね」
そうなんだと頷くしかない。佐々木さんから聞いた話だと、ここから怒涛の展開になるのだ。
「元カノの弟から、元カノである兄の話になって、さすがに後輩のいる前でその話をするのもどうかと思い、やましい理由は無いので弟と連絡先を交換しました」
「注文のビール三つと唐揚げ、枝豆、刺身盛り合わせ、フライドポテトをお持ちしました」
話している途中に注文していた料理や飲み物を店員が運んできた。せっかくなので、料理は温かいうちに食べたほうがおいしい。
「ここからは、食べながら聞こうかな。いつ聞いても、シズの話はおもしろいから」
佐々木さんも私と同じ気持ちだったらしい。シズさんも私たちに同意でまずは食事を楽しむことにした。
「すいません。長々とお話してしまって」
「いいの、いいの。たまにはシズも気分転換しなくちゃ。あいつらに予定を合わせていたら、シズの身体が持たないでしょう?」
話はその後、元カレと出会い、さらには中学の幼馴染と出会うという、波乱の展開が待ち受けていた。そして、元カレと幼馴染の衝撃の関係。そこからの流れで、お互いのシズさんに対する思いがあふれて、二人はとんでもない行動に移る。その後、後輩は元担任と浮気して、元カレの弟がシズさんに猛アタックを仕掛ける。
「シズ、こんなに遅い時間まで飲んでいたらダメだろう?連絡をくれたのはえらいけど、今度からはもっと早く切り上げないと」
「ごめんね、コナツ君。このことはマコトやユウイチは」
『残念でした』
シズさんの話を思い返していたら、彼女の話に登場した彼らがシズさんの迎えに現れた。居酒屋を出たのは午後十一時過ぎ。次の日は、私は仕事だが午後からの勤務で、彼女達は休みだった。駅近くの居酒屋で飲んでいたので、終電には間に合う予定だった。
「お久しぶりです。三人ともお元気そうで」
「ああ、佐々木さんか。結婚、決まりそうなんだよね。オメデトウ」
「まさか、佐々木さんも高校時代の元カレと成婚なんて、すごい偶然だよね」
「俺の場合は、元カレの弟だけ」
『俺たち三人がシズの旦那だろ』
なんだか現実味のない展開が目の前で繰り広げられている。シズさんに最初に声をかけたのが書類上の夫の元カレの弟「コナツ君」。その後に来たのが元カレでコナツ君の兄「マコトさん」と幼馴染の「ユウイチさん」。
コナツ君とマコトさんは兄弟ということでよく似ていた。目がぱっちりとした健康的な肌をしたイケメンだ。ユウイチさんはシズさんと同じ色白で銀縁メガネをかけたインテリ系のイケメンだった。
最終的にシズさんとコナツ君が婚姻届けを出して夫婦になった。しかし、マコトさんとユウイチさんはそれを認められず、シズさんとコナツ君の家に乗り込んだ。そして、シズさんとコナツ君は兄たちの執念に負けて、四人で住める家に引っ越した。
こうして、シズさんとイケメン三人の奇妙な同居生活が始まったというわけだ。下世話な話になるが、夜の方はいったいどうしているのか。気になるところだったが、他人の性事情なんて気軽に聞けないので、謎のままだ。
私の予想ではシズさんとコナツ君はノーマルにやっている。マコトさんとユウイチさんはもともと同棲していたくらいで、コナツ君も二人は付き合っていると公言していたので、ここもカップルとしてやっている。だとしたら、その他の乱交がどうなっているのか。
もし、彼らの同性カップルの間に子供が欲しいとなった場合、どうするのか。シズさんに頼る可能性が高い。そうなると不倫になってしまうわけだが、一緒に住んでいる以上、彼らともやっている、と思われる。
三人のイケメンが迎えに来たとなれば、その場で解散せざるを得ないだろう。この後の展開は容易に想像できる。シズさんを取り囲んでの乱交パーティーでも始めるのかもしれない。
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