兄の執着

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兄の執着

「黒曜、今日空いてるか? 外へ出掛けるぞ」 最近忙しそうにしていた兄さんがいつものように声をかけてきた。 「今日は特に何も無いですし、いいです よ」 ここ2週間ほどあまり会って下さらなかった ので不満げに返すと、 兄さんはふっと笑い ながら 「着いてこい」 と声をかけた。 置いていかれないように小走りで走り2人が着いた場所は洋服店だった。 「兄さん、 なぜ洋服屋に?」 そう問いかけるが、兄さんは答えることなく服を選び始めた。 数着見繕った兄は不満げに待たされている 僕を試着室に放り込み、 僕の服装に満足し たらしい兄は会計を済ませて店を出た。 一段落したらしい兄に僕はもう一度声をかけた。 「なぜ、 僕の洋服を?」 そんな僕を後目に兄は少し和らいだ表情で 話しだす。 「お前、今日誕生日だろう。 誕生日プレゼントだ。 服を送る意味、 知ってるか?」 ボッと顔を火照らせた僕を一通り笑ってか ら 「開けてみろ」 と兄は小さな小包を渡してきた。 「これって...」 キラキラ目を光らせる僕に兄は声をかけた。 「貸せ、つけてやる。」 2人が着けているお揃いのピアス それは一匹狼の仄暗い独占欲
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