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弟の執着
「おい、黒曜を知らないか?」
いつも不遜な態度をしている白夜は珍しく焦っていた。
ここ2週間ほど黒曜を見ていないのだ。
そんな白夜に最悪の想像がよぎる。
感情を抑えきれなくなった白夜は手当り次第に本を投げては書類を弾き飛ばす。
ギィ...
「兄さん?!」
白夜の様子がおかしいと連絡を受けて駆けつけた黒曜は汗を滲ませながら兄へ駆け寄る。
「はっ、はっ...うっ、ひっく」
やや過呼吸よりの白夜は泣きながら黒曜へしがみついた。
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「黒曜どこ?ねぇ、どこにいるの?!」
白夜は泣きながら走り回る。
そんな兄を想像しながら暗い箱の中で待つ黒曜は、兄が取り巻きたちを遠ざけ自分だけを愛してくれる未来だけを鈍く光った目で見据えていた。
「まわりにいるメギツネもそうじしなきゃですし」
「ぼくをおいてほかの人とあそんでいるなんて、にいさんがわるいんですからね」
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泣き疲れた兄の頭を撫でながら黒曜は嗤う
「こうやって泣き喚く兄さんはやっぱり可愛いですね。ちゃんと僕を見てくれないと」
昔も今も変わらない。
聞き分けの悪い兄へのお仕置きを。
これは策士な蛇の執着愛。
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