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これまで、この寝台ではいきなり欲をぶつけることしかしていない煌である。その記憶を上書きしなければ。
過去の自分の愚行や罪は決して消せないが、せめて、上官を大切にしたいと思っていることだけは、行動で示したいのだ。
「大尉殿。今日は俺が動く。あんたは、ただ喘いでいればいい」
「しかし、花宮」
「煌、だ。二人きりの時は、煌と呼んでくれよ」
「わかった。では、私のことも名で呼んでほしい。知っているか? 煌」
「もちろん知ってる。——奏人、好きだ」
「……っぁ、煌っ」
恋人を抱きしめる腕の力を強め、煌は口づけを繰り返す。
彼の熱を、息遣いを、引き締まった痩身の温かな感触を、思う存分、感じたい。
「なんでかな。今日の奏人の舌、すげぇ甘い」
自分の声が情欲にかすれるのを、煌ははっきりと自覚した。もう我慢がきかないことも。
「脱がすぞ」
手触りの良いシルクシャツを手早く開き、現れた裸身に触れる。煌の雄々しい唇が、ある意図を持って下にずれていく。
参謀本部出身の上官の肌は、日焼けとは無縁。硬質でありながら同性とは思えないほどに滑らかで、チュッチュッと口づけを落としながら移動していた唇が目的の箇所にとうとう辿りついた。
「あっ」
煌が啄んだのは、ふるんっと小さく立ち上がって男を誘う、桃色の粒。
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