これはペンですか?

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 うわあ,と僕は大きく声を出す。 「何してんの?」 「いや,豆腐逃こそ何してんだよ」 「散歩だよ,散歩」  びっくりした,そう思った時,ようやく豆腐逃の心の声を認識し始めた。嫌なことを思い出していたので,気がつかなかった。 『あ,田中くんいるじゃん。びっくりさせてやろ』  今更そう思っても,もう驚かされたんだけど 「ただいま」  声を顰めて,僕は言った。 「ああお前,少しペンを貸せ。今素晴らしいものが降ってきたんだ」  お経が聞こえると思ったら,いくつもの数字と,用語のようなものだった。おそらく,この男の心の声だろう。仕方なく,先程拾ったペンを渡した。渡したところで,ポケットが軽いことに気がついた。さっき驚いた時に落としたか,と考え,拾いにいくことにした。  先ほど閉めたドアをまた開ける。それが起こったのは,外に出て,少し歩いたところだった。轟音が,耳を包む。押されたように,前に転んだ。そしてモスキート音のようなものしか聞こえなくなり,辺りを見回す。家が半壊していた。爆発でもしたのだろうか。  よくわからずぼーっと家を眺めている。そしうていると,頭の中に声が聞こえてきた。 『そういえばあのペン,脱獄した爆弾魔の人に似た人が落としたやつだったんだよな』  後ろを向くと同時に,わあ,と膝が曲がった。膝かっくんだ。 「驚いた?」  そこで,僕は気がついた。豆腐逃は考えるのが遅れているんじゃない。数分,数時間,最悪数日,。  予想外の事実に愕然とするが,平静を装う。代わりに,覚えたての英語でこう言った。 「Was that a pen?」 「of course,that’s not a pen.」
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