653人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい、俺からのプレゼント」
それは、見たことがない変身ベルトだった。
宝物でも手渡されたように、光輝が目を輝かせている。
「俺のデビューは戦隊ものだったんだ。その時に使ってた由緒あるベルトを、子供用に直した」
「そんな大事なもの、いいんですか?」
「光輝が持ってるほうがベルトも喜ぶからな」
そう言って光輝の腰に巻くと、二人が並んで変身ポーズを決めた。
「なんか、本当の親子みたいなんだけど」
琴葉が少し呆れたように笑い、私もつい微笑んでしまう。
松永家で行った誕生日パーティーは、慎ましいながらも和気藹々としていて楽しい。
そう、本当の家族のようで…。
「今度はブルーやグリーンにも会わせてやろう」
「ホントっ!?」
「あぁ、その代わりママの言うことをよく聞くんだぞ?」
「分かった、約束する!」
すっかり松永に懐いている光輝はでも、私に向かってこう言った。
「このベルト、パパに見せたいな」と。
「そうね…お墓参りに行こうか」
一瞬、胸を締め付けられながらも、息子の頭を撫でてやる。
「それ、俺も行っていいかな?」
「えっ…?」
松永の真意が分からずに返す言葉に詰まっていたが「いいよ、皆んなで行こう!」と、はしゃぐ光輝に戸惑いが流れていく。
「お墓参りにデートとかって、逆に新しいけど」
どうやら琴葉も賛成のようで、私たちの間に一つ共通の目的が生まれた。
最初のコメントを投稿しよう!