【どうか起きないで】

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「あんたさえいなければ、こんなことにはならなかったのに!あんたが死ねば良かったのよ!なんで、なんで涼真がっ…」 おいおいと泣き崩れる私は、この時は役に入り込んでいた。 大切なものを奪われたヒロインが、大切なものを奪った相手を叩きのめす。 そこには、自分が犯した罪など微塵もない。 「どう責任を取るつもり?」 「それは…」 「このまま目を覚まさなかったら、どう責任を取るつもりなの!?」 「わ、私がずっと付き添って──」 「やめて!今度は殺すつもり?」 見下ろしながら吐き捨てると、彩乃の顔が大きく歪む。 「だってそうでしょ?あんたが言い寄ったから、涼真は大怪我をした。松永涼真なのよ?世界に誇る俳優の役者生命を、あなたが断ち切ったの。その自覚ある?ないと言わせない。あんたが家政婦の振りをして近づきさえしなかったら、こんなひどいことにはならなかった!」 いつもなら歯向かってきた生意気な女も、さすがに 何も言い返せないらしい。 それなら、トドメをさしてやる。 「あんたは人殺しよ。でも、涼真のために一つだけできることがあるわ」 「──えっ?」と顔を上げた彩乃が、縋るような表情をしていた。 「死んで。それができないなら、二度と近づかないことね」 フフフっ。 これで涼真は私のもの。
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