【どうか起きないで】

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「自分のいいように利用してるだけじゃない!」 「よく言うわよ、仕事もセーブして看病してるっていうのに。これもみんな、あんたのせいよ!松永涼真の将来だけじゃなく、九条愛子の未来まで潰したの!事の大きさが分かってる?あんたとは比べ物にならないくらいの損失なのよ?」 「それなら、今すぐに私が代わるわ」 「はぁー?」 「私が彼を面倒を見る。女優の仕事なんてどうでもいい。もっと早くそうするべきだったのよ。私のせいなんだから、私が責任を持ってお世話するわ」 「出しゃばるんじゃないわよ。あんたは部外者なの、入って来ないで」 「ほら、やっぱり利用してる。そうやって世間にアピールしてるだけでしょ?そんなに仕事がしたいなら、やればいいじゃない。どうせ、彼のことなんかなんとも思ってないくせに」 「私は涼真を愛してるわ。彼だって私のこと──」 「振られたくせに?」 「なっ…!」 「松永涼真から告白されたの。私のことが好きになったって。だから九条愛子は別れを切り出された。そもそも、あなたにとって松永涼真は、自分の価値を引き上げてくれるただの道具。そんな人が彼の世話をするべきじゃない。あなたはこう思ってるはずよ」 彩乃の瞳が目力を増し、私を射抜く。 「お願いだから、このまま目を覚まさないでって」
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