手塚治虫 を偲んで

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手塚治虫 を偲んで

 私の尊敬する漫画家に『手塚治虫』氏がいる。  彼の描いた漫画は小さい頃からほとんどの作品を読み漁ったが、『ふしぎなメルモ』は、漫画誌にも掲載されていたし、アニメにもなって人気があった。  『ブラックジャック』は勿論大好きだった。子供心にもリアルで本物にあふれていた。それでも医学や人間の身体の不思議が沢山の作品になっていて読みごたえがあった。その頃の医学では無理だったものでも現在ではできるようになっている技術も多々含まれている。    それとは打って変わって、この『ふしぎなメルモ』はざっくり言うと、赤いキャンディーを食べると10歳若返り、青いキャンディーを食べると10歳年を取るという、天国のママから貰ったミラクルキャンディーで、周囲の友達を助けて行くと言うお話だ。  この、10歳単位と言うのが実に妙で、青いキャンディーで20歳になったメルモが間違えて3粒赤いキャンディーを飲んだら、赤ん坊を超えて胎児になってしまう。もっと細かい年齢設定ができない物かと、子供心に、もどかしさを覚えたものだった。  でも、そのもどかしさが物語を深くしているのだと大人になってからは思うようになった。全てが思い通りになるようなお話はきっとつまらなかったに違いない。  アニメの歌を一生懸命覚えるようになったのも『ふしぎなメルモ』が最初だったかもしれない。  このキャンディーは不思議な作用があるのだから、天国からの物質ではあるが、つまり、おくすりというくくりの中に入れても良いのでは?と私は思う。  途中、差別用語が色々と変わり、吹き替え版が出るようになってはいるが、現在でも名作に入るのではないかと思う。  女子の不思議な変身物のはしりだった気もする。  変身するための杖(は昭和ですね。スティック。かな?)  還暦になった今でもメルモちゃんの歌が歌えるのは、やはり若いときに覚えたことは忘れないという事だろうか。  ミラクルキャンディーがあっても、今の夫と出会えた人生なので、私は今のままで良いと思っている。  でも、もしもミラクルキャンディーがあったら、生きている頃の『手塚治虫』氏に会って、どんな発想からあの数々の漫画が産まれたのかは聞いてみたい気もする。 【了】    
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