じみ子とあだ名

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じみ子とあだ名

 で、私のあだ名の話よ。さっき話した葵ちゃんと、楓ちゃんが私の幼なじみで親友。  三人ともそこそこ中の中みたいな頭の出来だから、見事に三人で同じ高校に入学することが出来た。  葵ちゃんはサッッッパリした性格で身長も高くて、バスケをずっと続けてるスポーツ大好きガール。ストレートさらさらのショートカットは私の憧れ。  楓ちゃんはおっとりして漫画大好きな女の子。ふわふわ可愛く笑う笑顔に、男子も惹かれて今まで告白された回数は覚えてないくらい。  でも楓ちゃんは完全にオタクで彼氏が欲しいとか思ってないみたい。  腐がつく女子でもあるので、男子に告白されても「あなたには◯◯くんがいるじゃない。二人で仲良くね」ってニッコリ笑ってごめんなさいするんだって。  告白してきた男子は呆然として笑顔の楓ちゃんを見送る、ってのを何度か見かけたわね。  どうやら楓ちゃんは同級生腐カプ帳なるものを作って持っているらしく、普段の絡み具合だとかビジュアル的にとか、全男子様々なカップリングを描いてあるノートを持ち歩いてるんだって。 「ふふふっ、新たに高校生活が始まるからこのノートも可愛いのを新調したのよ」って可愛いキャラクターのノートを見せてくれた。楓ちゃんの好きなキャラが描いてあるのかな?私は知らないけどそんな感じ。  カップリングノートを見つめる楓ちゃんは楽しそうで何よりだけど、私にはその楽しさが分からないから、今日も楓ちゃん楽しそうだな〜って見守ってる。  そして私。  平凡な家庭のお父さんお母さんお兄ちゃんと私の平凡な四人家族。私の部屋にはハムスターのチビが同居中。  身長は150cmないのに、胸が大きいのがコンプレックス。多分、豆乳とか乳製品が好きでこう育っちゃったのかなって思ってる。そこの脂肪!身長にいけば良かったのに!  で、諸悪の根源、江藤海くん。  小学三年生の時に同じクラスになって以来、腐れ縁だか因縁があるんだかのように毎年同じクラスになってる男の子。  忘れもしない、あやつは小三の自己紹介に時に私を指さして「恵美子じゃなくてジミ子じゃん!」と叫んだ。  小学生男子が上手いこと言ったぜみたいに自慢気な顔をしてるのを、担任の先生も笑ってて注意してくれなかった。  その時から私は恵美子と言う名前があるにも関わらずじみ子と呼ばれるようになったのだ。  葵ちゃんと楓ちゃんだけは別。ずっと『恵美子』って呼び続けてくれてる。あんまり仲良くない女の子は「じみ子ちゃん」て笑いを含んだ呼び方をしてくる。嫌な感じだ。  私はその頃には信頼出来る人間、出来ない人間がいるんだなって学んだ。
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