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6時半  チャイムが鳴り 洋美が玄関口で  「何? お父さんとお母さん 何か用事?」 洋美の声が聞こえ 隆はリビングへ入って行った 「今晩は」  明るく声を掛け 義両親は 何を言って良いか  顔を彷徨わせ ソファーに腰かけ 二人は顔を見合わせていた 再度チャイムが鳴り 洋美が台所から向かおうとした時  俺が行くからと 洋美を引き留め  6人分のお茶を用意してと玄関に向かった  ドアを開け 岡夫妻を招き入れ  リビングの扉を開けた時  ・・・・貴方・・・  洋美が青い顔で一言呟いた 義両親は黙ってソファーで 洋美と岡夫妻を見つめ  隆は岡に座る様 促すと 夫妻は床に正座した 床に座る時 奥さんが怪訝な顔で座る 「何時から?」 洋美と浩一を見て聞いた 「3か月前」 洋美が呟くように言った 「洋美と 岡さん お二人に慰謝料を請求させて貰います」  「それと洋美はこれに 記入して」 隆は緑の紙に 自分の名前を記入したものを差し出した 洋美は隆の顔を見て 「御免なさい・・・やり直せない・・・の・・」  隆を見つめ 首を振る姿に項垂れた 「洋美 奥さんにも慰謝料 お渡しして」  幸次の横に座って居る 少し痩せて髪の長い奥さんに目をやった 「奥様 内のが 大変ご迷惑をお掛けして」  「今 お話しさせて頂いたように   洋美から奥様へ慰謝料をお支払い致しますので」 隆の言葉に 長い髪の奥さんが 隆と洋美を見て 「今日 この人が青い顔で帰って来て 突然連れて来られて」  「訳が判らなかったんですが 主人と不倫ですか?」 隆が頷くと 幸次を見て 洋美を見つめ 黙って頭を下げた 「岡さん これに念書を書いて下さい サインで良いですから」 念書を書かせると 夫妻は帰って行き  義両親は洋美を連れ マンションを出て行った リビングは 寒々とした空間に変わり  テーブルの上に手を付けていない紅茶が 並んでいた
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