雪の故郷

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部屋の電話が鳴った 「もしもし 佐藤です」  真奈美が出ると母からだった 「真奈美・・・・・・・」  電話の向こうで母の嗚咽が聞こえた 「どうしたの お母さん何か有ったの?」  真奈美は母に声を掛けた 「お父さんがね・・・お父さんが・もう少しなの」  母の ふり絞る様な声が受話器の向こうから聞こえて来た 「ええ・・・お父さんが」   真奈美は絶句していた 「真奈美・・・お父さんに・・・会いにきてくれる?」 母が電話口から 聞いて来た 「行きたい・・・でも・・・でも・・・」  真奈美は 父を思い出し 父と別れた日の 父の言葉を思い出していた 「直ぐ 来て欲しいの もう時間無いから」  母の声を何処か 遠くで聞きながら  受話器を持ったまま立ちすくんでいた 「私・・・お父さんに・・・顔向け出来ない」  真奈美はそう呟くように 母に伝えた 「・・もう後・・・僅かだから・・・来て・・・会って上げて」 母の涙声の間からの 言葉を聞き 「明日 行く!!!」  真奈美は電話を置くと 夫に振り向いた 「明日 お父さんに会いに行こう 一緒に行ってね」  真奈美の言葉に 夫が頷いて呉れた
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