「肝試し」

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車を走らせてからおよそ1時間。ついに目的地と思われる白い小さな建物が見えてきた。あのマップで見た建物と同じだ。俺は建物の目の前で車を止め、建物の辺りに人がいないかどうかを確認した。 見た感じ、やはり人の気配は全く感じない。いや、何ならむしろ人ではない何かの気配すら感じる。この世の者ではないもの……。 いや、考えすぎだ。ここに来てから少し落ち着きがなくなっている。いったん車の中で一休みして、気を紛らわそう。 俺は車の中でしばらくスマホをいじっていたのだが、インターネットで検索してもこの謎のトイレについての情報は一切出てこなかった。とりあえず俺は音楽でも聴いて気持ちを落ち着かせるのだった。 そろそろ気持ちも落ち着いてきた。いよいよあのトイレの中に入って霊がいるかどうかを確かめに行く。一応緊急時のためにスマホも持っているので大丈夫だろう。 俺は勇気を振り絞って男子トイレの中へ入っていった。女子トイレはさすがに誰もいないとはいえ、気まずい。もちろん電気はついていないので暗くて何も見えない。というわけで俺はスマホのライトで周りを見渡すことにした。 中は特に何の変哲もない普通のトイレ。特にボロボロでもなく、今でも使えそうな綺麗なトイレだ。だが一つだけおかしな点を見つけた。男子トイレは入り口から入って右側に小便器が4つ、左側に大便用の個室トイレが3つ並んでいる構造なのだが、その個室トイレの一番奥側のドアに、謎の張り紙が貼られていたのだ。しかもなにか文字が書かれている。 「1番目の言うことは真実」 「7番目の言うことは絶対に信じるな」 これがどういう意味を示しているのかは俺には全く分からなかった。 なんだ、何もいないじゃないか。俺は一安心してトイレから出ようとした。 でも、せっかくなので俺は先ほどの貼り紙の貼られた個室トイレに入ってみることにした。何も起きずに帰るのも腑に落ちないからな。 それにしても、この貼り紙に書かれてある「7」と「1」の形が妙に不自然だ。「1」の数字はなんだか異様に傾いていて形が長いし、「7」の方は、逆に短い形をしていて、数字のいちがおかしくなったようにも見える。 それはさておき、もしかしたら中で何か映るかもしれないので、俺はスマホを撮影モードにしてドアを開けた。
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