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「決意」
人生というのは非常に残酷なものだ。社会に認められなければ同じ人間として扱われない、いわば権力を持った奴らのいう「負け犬」同然なんだ。一体何が僕の本当の生きがいなのか、もはや分からなくなってきた。
僕はついこの前まで大工の仕事についていた。力も弱くて度胸も無い僕にとっては地獄のような日々だった。時には一回遅刻してしまい、30分間延々と暴言を浴びせられた後、平手打ちを喰らわされるという結果に。あれはいくら何でもひどすぎると同僚に励ましてもらったので、何とか仕事を続けることが出来たのだが、僕はこの時すでにメンタルの限界が訪れていた。
ある日のこと、いつも通り作業を進めていた時の事だった。この時僕はノコギリを使って木材を切っていたのだが、この時たまたま寝不足のためつい寝落ちしそうになってしまった、その時だった。
「痛えぇぇ!!」
木材を支えていた方の左手の親指をノコギリで思いっきり切ってしまった。傷口からは大量の血が流れ出て、地面には切れた親指がボトっと落ちていた。
「うわあぁぁぁ!!」
流石に近くにいた同僚も驚きを隠せなかった。幸いにも近くにいた同僚に助けてもらったので、大事には至らなかったのだが、後日その時いた親方に事情を説明したら、親方の口からとんでもない言葉が放たれた。
「いや親指切った?だから何だよ?んなこと言う暇があんなら今すぐ辞めちまえ!」
……あまりの言葉に僕は言い返す言葉が見つからなかった。
その後も仕事は上手くいかず、失敗しては暴言を浴びせられ、時には泣いてしまうこともあった。
とにかく早くこの地獄から抜け出したい……。そんな気持ちでいっぱいだった。
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