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キャラ紹介
良太(男) 中学二年。身長163 体重53キロ。国語と歴史は得意だが、理数科目は苦手。運動音痴。引っ込み思案。理想は高いが、現実が伴っていないモヤシッコ。能登弁を駆使する。
峰光(女) 中学二年。身長156 体重42キロ。マレーシアからの帰国子女(亡くなった父親はマレーシア人、母は能登半島出身)英語、北京語、日本語が出来る。母子家庭の厳しい家計を助けるために、民泊ビジネスをやっている。美形だが褐色の肌に劣等感あり。髪はショート。ミステリー好き。
凛(女)中学二年。身長157 体重54キロ。勉強は学年一番。親分体質で、良太と峰光の庇護者的存在。誰とでも交流し冗談好き。髪はショート。
張(男)25才。身長174 体重98キロ。上海出身の中国人の青年。日本の大学を卒業して観光地の取材業、雑多なライター業、株式トレードで生計をたてる。峰光の民泊に長期滞在。おおらかで、子供好き。
義経(男)24才。身長179 体重62キロ。劇中劇に現れる謎のホスト。金髪でイケメン。死んだ奥さんの連れ児の屋島を養育中。
屋島(女)12才。身長151 体重39キロ。劇中劇に現れる謎の小学生。髪は赤いリボンでまとめる、美少女。将来腕利きの株式トレーダーに成長して、良太たちにミステリーを仕掛ける。
(粗筋)
能登半島羽咋市に住む歴史好きの中学生の良太は、塾の歴史の授業で「義経と鯨」の伝説を知る。ネットで調べると「ホスト義経と養女屋島ちゃん」という日記風のブログが見つかる。そのブログを仲間と調べているうちに、それがある株式トレードの秘密を示していることに気付く。やがて彼らは安宅関や満福寺などの義経にゆかりのある土地を順番に調査して、投資のヒントに近づいていく。
○小松市海岸の砂浜(昼)
張、良太、峰光、凛たちが、流木に置かれた絵馬を見つめる。
張「絵馬の開腹手術始めるよ」
張の手の上には手の平サイズの石。
凛「誰がやるの。何も出てこなかったらバチ当たりやわ」
張「じゃあ、良太君だね」
峰「大丈夫?」
良「え、これって罰ゲームかなんか」
張が良太に笑いながら石を押し付ける。
峰「良太君がリーダーだからだよ」
凛「リーダーやっちまえ」
覚悟を決めたように無言でうなづく良太。
良「えい」
良太が石を絵馬にうち下ろした。
<パリン>
という乾いた音をたてて、絵馬は綺麗に二つに割れる。
凛「普通こんな綺麗に割れんよ」
張「中身あるんかな」
良太が絵馬を拾い上げようとする。その瞬間、二つの木片の間を白い何かが、鳥のようにフワリと浮かぶ。それは海からの強風にあおられて、一気に空中に浮かぶ。
張「紙だ、それがメッセージだ」
張が叫ぶ。
峰「海にいっちゃうよ」
紙は海風に乗って飛翔し、海の彼方へと飛んでいく。
良「あああ」
良太は追いかけて海に足を踏み入れる。それを呆然と見守る三人。
良太モノローグ(きっかけは塾の授業だった........)
○田舎の塾の教室(昼)
40代の教師が教壇で、話す。
教師「ここで皆も知っている源義経の登場だ。源氏が平治の乱で平氏に負けて、鞍馬寺でお坊さんの修行をさせられていた……」
良太が欠伸する。他の生徒は無気力な目で黒板を見つめる。
教師「屋島の戦で鯨が、義経を救ったって伝説があるんだ」
良太が驚いた顔で、教師を見つめる。
教師「四国の屋島に暴風雨の海を渡って平氏に奇襲をかけた義経の部隊はたったの百五十騎。対する平家は三千騎」
凛「義経の部下は全員特殊部隊やったんかな」
教師「平家は嵐の夜に奇襲してくるなんて想像もしていなかったんだよ」
男子生徒「義経ヤバすぎ」
教師「こら、発言があれば手をあげろ」
教室がシーンとなる。授業に集中する良太の耳に"ぐう"、という音が聞こえる。隣を見ると峰光が真っ赤な顔でお腹を押さえている。
良「朝飯食っとらんがん」
峰「うん、ゲストから問い合わせが多すぎて時間なかった」
良「俺の弁当も半分やるわいね」
峰「い、いいよ」
チャイムの音がなり響き、先生が教室を出ていく。子供たちが、カバンから弁当をだしてランチの準備。良太が、隣を見るとご飯をかきこむ峰光の姿。驚く良太。
峰「もう一秒も待てなくて、あははは」
良「今日はハンバーグなんやね」
峰「冷凍ものだけど」
良太が箸をとめてまたぼんやりと教卓を見ていると、凛がやってくる。
凛「どったの良太、そんな真面目な顔して」
良「義経と鯨の伝説聞きそびれた」
凜「鯨が平家の軍船にぶつかったとか言っとったな」
良太モノローグ「彼女は近所に住む幼馴染みでお笑い大好き女子の凜。丸顔のくせに結構もてる。勉強もできて学級長様だ」
凜「ところでみっちゃん、今日お客さんくるがん」
峰「うん、今日から中国人の若い人がチェックインするよ」
凜「じゃあ三人で迎えに行かんかまん」
峰「え、悪いよ」
凜「お客さんに初めて会う時は一人で会わん方がいいって」
良「そうやて、塾終わったら皆で行かんか」
○海辺の自転車道(夕方)
自転車で三人は移動する。
良太モノローグ「一学期の途中に
はマレーシアから転校してきた。彼女は事故で亡くなった中華系マレーシア人の父親と能登っ子の母親から生まれたハーフ。英語、中国語、日本語が話せる」
良太が、先頭で凛、峰光が追いかける。背景に海にゆっくり落ちていく夕日。
良太モノローグ「峰光はとても忙しい。実はシングルマザーの母親を助けるために語学力を活かしてある商売をしている」
夕日をうっとりと眺める峰光。早く行こうとせかす凛。
良モノローグ「それは民泊といって一般の家を使った宿泊業で、お客からの問い合わせが色々ある。凛に誘われて僕は峰光をたまに手伝うようになった」
○能登地方羽咋駅(夕)
峰光のお客さんを待つ三人。改札から張が現れる。
張「初めまして張です。若いホストさんたちですね」
峰「私がホストの峰光で、彼女が凜ちゃんで、彼が良太君です」
張「君たちは友達なの」
子供たちは自転車を手で押しながら峰光の民泊の家に張を案内する。
凜「そうです。ミッちゃんを手伝ってるんです」
張「そうかあ、友情にあついんだね」
○峰光が民泊の運営に使用する古い木造の民家の室内(夕)。
土間から天井、梁まで黒く煤けている囲炉裏のある座敷で張、良太、凛がくつろぐ。
張「すごい、座敷童が出そうな家だなあ」
凛「一ヶ月も泊まるんすよね。暇じゃないがん、こんな田舎で」
張「ネットがあれば仕事は出来るよ」
凛「仕事ってなんですか」
張「色々やってる。トレーディングとか旅行記事書いたり」
峰光がお盆に緑茶を入れたコップを四つのせて現れる。
張「明日、日曜だけど君たち暇かい。観光案内してくれない? バイト代だすよ」
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