一番のおくすりは

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 弟のコタが熱を出した。  喉が痛いって泣いていたらしい。  僕が学校から帰ると、コタのために仕事を休んだママがいた。  リビングの隣の和室には布団が敷かれてあって、額に冷却シートを貼ったコタが、スヤスヤと小さな寝息をたてて眠っていた。コタの目頭の窪みには、小さな涙の池ができていた。  僕はコタが可愛そうで、コタの隣に僕のお気に入りのクマのぬいぐるみを寝かせてやった。  「ユタ!あまりコタの近くに行かないで!」  ママがコタのためのミルク粥を作りながら、オタマを僕に向けた。  「はぁ~い」  ママは今日、コタを病院に連れて行ったらしい。    「ヘルパンギーナだって。夏風邪みたいなもんだって…熱さましの薬しか出してくれなかった。自然に治るの待つしかないんだって…明日も仕事休みもらわないと…」    独り言なのか、僕に言っているのかわからないくらいの声のトーンでママはぶつくさ言っている。  
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