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机に体を委ねると、コンパスと三角定規に追いかけられてうなされた。
「南波くん・・・南波くん・・・」
隣の席のチトセの声だ・・・
「先生!南波くん熱あります!」
「え?裕太?…おーい裕太、大丈夫か?」
担任の北村先生が僕の額に手を当てた。
「すごい熱だな…保健室連れていくから、みんな自習で」
先生は小さく屈んで僕を軽々と背負うと、保健室へと連れて行ってくれた。
*
「ご迷惑をおかけしました。迎えも遅くなってしまって、申し訳ありません…」
ママは養護教員と北村先生に深々と頭を下げた。
ママが僕を迎えに来たのは、16時過ぎだった。
「コタのヘルパンギーナもらったなこりゃ…」
ママは小さくため息をついて「明日どうしよ・・・」と漏らした。
コタの時に有給休暇は使い切ってしまっているし、たまりにたまった仕事があると、昨日ぶつくさ言っていたけ・・・
「病院行っても熱さまししかもらえないんでしょう?僕、よくなるまで家で寝てるよ」
僕はカサカサの声でそう言った。
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