一番のおくすりは

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 つぶらな瞳のコタが僕の横にゴロゴロ転がってきて「にーちゃんコタのギーナうつったの?」「のど痛い?」「つらい?」と、聞いてくる。  そうだよ、お前のうつったんだよ…  うるせーな…  「あっち行けよ!」  僕はキツイ口調でコタにあたった。  かすれ声だったが、思ったより大きな声がでた。  コタは僕の声にビクッと肩が上がって、みるみる瞳が潤む。  「恒太(こうた)お兄ちゃん寝かせてあげなさい…」  ママがため息をついてコタをたしなめる。  「ヤダ!コタがにーちゃんなおす!」  コタはそう言っておもちゃ箱からカラフルな聴診器を持ってきて、僕の頭から足先までを「どれどれ・・・ふむふむ…」と言いながら聴診した。  コタなりに心配してくれているのだ。  キツく言いすぎたなと少し反省して、されるがままにしてあげた。    「うん、ギーナだ。このおくすりで良くなるはずだ」  そう言って、コタは僕にヨーグルト味のラムネをくれた。  コタなりの優しさなのだろう。    コタが自分のおやつをくれるなんて、明日はきっと雨が降る。  「ありがとう…」  僕が力なく微笑んでそう言うと、コタは嬉しそうにムフフと笑った。      
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