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「仕事…行ったんじゃなかったの?」
僕は布団から顔を覗かせてママに尋ねた。
「うん、行ったんだけど…主任に怒られちゃった…」
「え?」
「『大事な子供が苦しんでる時に何してんの?一番の薬はママの愛情でしょ!傍にいてやりなさい』ってね。理解ある上司でよかった…ごめんね…ママ、ユタの優しさに甘えちゃって…心細かったよね…」
一度緩んでしまった僕の涙腺は、もう我慢することを忘れてしまっていた。
「うぁああ…」
僕の目からは大粒の涙がボロボロと溢れた。
ママは一瞬目を見開いて「あぁ…ゴメンねぇー…我慢してたよねぇ…ごめんごめん…」と、眉を下げて僕を抱きしめて、ポンポンと背中を優しく叩いた。
ママの目からもホロホロと涙が溢れて、二人でメソメソと泣いた。
パパごめん、ママ泣かせちゃった…
でも僕は嬉しかった。
いつの間にか心にできた小さな隙間が塞がった気がした。
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