6章

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 あーあ、言っちゃった。一臣さん。きっと困ってるよね。でも、今しかチャンス無かったし、どうなっても後悔はしない。後は答えを待つのみね。  まさか、本当に告白されるとは……。――嘘、じゃないよな。だとしたら真剣に答えないとな。こんなに思ってくれるのは本当にありがたい。確かに状況やタイミングは最悪だけどそれが何だというのだ。ここまで女性の七瀬さんに言わせてしまっては……。今、この時、僕が七瀬さんに出来る事。それは気持ちを受け取り寄り添う事。人からの見た目とかそんな事はどうでもいい。大事なのは七瀬さんの気持ち。俺はそれに寄り添いたい。 「そこまで言わせてしまって済みません。男としては失格ですよね。けど、嬉しかったです。俺で良かったら喜んで」  そこまで言うと笑みを浮かべ七瀬を見詰める一臣。七瀬は瞳に涙をため笑みを返しながら答える。 「本当にありがとうぅ」 「こちらこそ、本当にありがとう」  そう言い手を重ねる二人の後ろでは二人の今後を祝福するようにジャズの調べが鳴り響いていた。 「これからよろしくお願いしますぅ」 「こちらこそお願いします」                                                                 了
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