僕があなたに出来る事

序章

「それじゃ、お先に失礼します」

「お疲れさまですぅ」

七瀬はそう言葉を返すと右手を振り一臣が去ると仕事を再開していた。一臣はというと帰路に就くため駐車場にある車に向かっていた。

俺は駐車場にある愛車まで辿り着くと、ドアを開けスタートボタンを押し、車を走らせ帰路についていた。サイドウインドウに映る景色をチラ見しながら考えを巡らす。

――――明日どうやって七瀬さんに会ったらいいのやら。

――――意識するなって言ったって無理あるよな。

　結局、答えは出ず出たとこ勝負って事で自分を納得させていた。

　僕は残業をこなしながらいろんなことを考えていた。

――――さっきはどうして近衛さんにキスなんか。

――――悪いことしちゃった。気にしてなきゃいいけど。

――――そもそもあいつが悪い。

――――あの、黒髪のロングヘアーの娘誰なの。

　答えの出ない事なのに自問自答を繰り返していた。