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3章
同日18時
仕事を終えた一臣は一足早く喫茶店メネシスに来て奥の2人掛けの席に座り麗奈が来るのを待っていた。その間もいろんな事が脳裏を過る。
――――麗奈に逢いちゃんと話する事が出来るだろうか。
――――というかやり直せるのか。
今更ながら自分の器の小ささに嫌気がさしていた。もし、俺がもう少し器が大きかったなら、きっとこんなに女々しく悩んだりはしないだろうと思いながら、麗奈を待っていた。程無くして麗奈がやって来てこちらに向かってくる。それは見た時俺は、緊張のあまり鼓動音が聞こえそうなほど高鳴らせていた。それを知ってか知らずか何もなかったかの様に前に座る麗奈を見て懐かしさを感じていた。同時にフラグランスの香りが漂う。
――――いつ以来だろう。
――――この香りも久し振りだな。
一臣がそんな事を考えている所に麗奈が話し掛ける。
「久しぶりだね。元気してた」
麗奈が一臣を正面から見詰める。
「久しぶりだな。一応は元気だ」
それに冷静さを装った一臣が答える。が、視線が泳ぐ。
――――ああ、久しぶりだな。一臣の声聞くのは。
――――上手く話せるかな。凄く心配だけど頑張らなきゃ。
「それなら良かった」
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