3章

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「そういう事。前向きに考えよう。それに駄目なら……」 「駄目ならって、何」  麗奈が右に首を傾げ訊ねる。 「あっ、いや。何でもない」 ――――僕は今なんて事を言おうとしたんだ。七瀬がいるのに。 ――――この気持ちはとっくの昔に封印したはずなのに……。 「変な将にい」 ――――確かにそうだ。調子が狂ってる。 ――――それに近衛さんには借りを返さなきゃならないのに……。  将隆はそんな事を考えながら言葉を返す。 「そうかな」  その表情は何処か愁いをふくんでいた。 「そうだよ。何時もなら歯切れが良いのに歯切れが悪いなんて珍しいね」  悪戯気な笑みを浮べる麗奈。 「そういう事もあるさ」  将隆は作り笑いを浮べそう言葉を返す。この時、将隆は困惑していた。消したはずの気持ちがまだ心の片隅に根付いていたという事実は、認めたくは無かったし認める訳にはいかなかった。その中で、将隆は麗奈を思い言葉を続ける。
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