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4章
土曜日早朝。一臣は麗奈に逢うためその準備に追われていた。その一臣のスマホに麗奈から電話がかかりそれを見た一臣は電話に出て応える。
「もしもし、俺だがどうした」
「一臣ごめん。準備に手間取って待ち合わせの時間に遅れそうなの。それで悪いんだけど、良ければ迎えに来てもらえたら助かるんだけど」
済まなそうな声色の麗奈。
「何だ。またか。解ったよ。迎えに行くからそれまで準備済ませておいてくれよ」
「本当にごめんね。それじゃ、後で」
「うん。それじゃ」
一臣はそう言うと電話を切り、笑みを零していた。
――――麗奈の時間にルーズな所は相変わらずだな。
――――なんか懐かしいな。
そんな事を考えながら一臣は麗奈に逢う準備を続け、その準備を済ますと車に乗り麗奈の家に向け車を走らせていた。麗奈が住むマンションの前まで辿り着くと車を停め、徐に胸ポケットからスマホを取り出すと電話を掛ける。
「もしもし、俺だけど。もう下に着いたよ」
「本当にごめんね。私も準備で来たから今行くからもう少し待ってね」
電話を切った一臣は辺りを見渡し懐かしさに浸っていた。程無くして麗奈がパステルピンクのワンピースを着て現れ、一臣の車に乗り込むと声を掛ける。と同時にフラグランスの香りが漂う。
「一臣。本当にごめんね」
麗奈をそう言うと手を合わせて頭を下げる。
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