4章

13/16

120人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
少し考え込む七瀬。その後話を続ける。 「それでその半日は何をしたんでしょうかぁ」 「海に行ってその後ここに……」  一臣が言いづらそうに答える。 「海とここにですかぁ。――うんっ。今はそれでいいんじゃないですか」  そう言うと笑みを零す七瀬。 「いいんですかね」  何処か釈然としない様子の一臣。 「無理する必要はないと思いますよぉ。いきなり元通りになんていかないですからぁ」 「そうですかね」   力なく答える一臣。 「そうですよぉ。近衛さんのケースは特にですよぉ」 「なんか、そう言われるとほっとします」 「多分ですけど近衛さん。無理に元通りにしようとし過ぎなんですよぉ。けど、元通りになんてできないんだから今できる範囲で良いんですよぉ」 「言われて見ればそうかも知れません。――そうか、今できる範囲で気にする必要なんてなかったんだ」  一臣はそう言うと笑みを零す。 「そうですよぉ。気にする必要な言うんですぅ」  そう言いながら笑みを返す七瀬。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

120人が本棚に入れています
本棚に追加