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少し考え込む七瀬。その後話を続ける。
「それでその半日は何をしたんでしょうかぁ」
「海に行ってその後ここに……」
一臣が言いづらそうに答える。
「海とここにですかぁ。――うんっ。今はそれでいいんじゃないですか」
そう言うと笑みを零す七瀬。
「いいんですかね」
何処か釈然としない様子の一臣。
「無理する必要はないと思いますよぉ。いきなり元通りになんていかないですからぁ」
「そうですかね」
力なく答える一臣。
「そうですよぉ。近衛さんのケースは特にですよぉ」
「なんか、そう言われるとほっとします」
「多分ですけど近衛さん。無理に元通りにしようとし過ぎなんですよぉ。けど、元通りになんてできないんだから今できる範囲で良いんですよぉ」
「言われて見ればそうかも知れません。――そうか、今できる範囲で気にする必要なんてなかったんだ」
一臣はそう言うと笑みを零す。
「そうですよぉ。気にする必要な言うんですぅ」
そう言いながら笑みを返す七瀬。
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