序章

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ペースを乱され困惑していたが、平静を保ったふりをして答える一臣。 「誰だっておどろきますよ。あんな近くに寄られたら……」 「近衛さーんっ。声上ずってますよ」  七瀬が目を細めて顎を突き出し、得意げに笑いを堪えながら話す。 ――――近衛さんって、本当に面白いなぁ。 ――――あーあっ、僕の彼氏もこんなだと良いのに……。 「あれだけ驚かされれば誰だってこうなりますよ。本当、勘弁して下さい」 「あはぁ、ごめんなさい」 笑みを浮かべ舌を出す七瀬。 ――――まったく、この娘は……。 「ああーっ」突然、素っ頓狂な声を上げる七瀬。一臣がびくっとする 「近衛さーんっ、暗い顔しちゃだめですぅ。笑う門には福沢諭吉っていうじゃないですか」 ――――いや、福沢諭吉じゃないし。 ――――けど、俺の事気にしてくれてるんだな。 「以後、気をつけます」
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