5章

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「何だよ、それ。マジでびっくりしたよ」  そう言いながら優しく微笑む一臣。 「ごめんね」  麗奈がくすくすと笑う。 「んっ、いきなり笑いだしてどうしたの」 「んっ、何か一臣らしいなって思って」 「なんだそりゃ」 「なんだっていいじゃない」  そう言うと二人で顔を見合わせて笑う。そうこうしていると遊歩道の脇にベンチを見付ける。 「ちょっとあそこで休もう」  そう言いベンチを指さす一臣。 「うん。いいね。休もう」  そう言うと二人はベンチに駆け寄り並んで腰を掛けると湖を眺める。見渡すと一面に湖が広がり湖畔には木々が茂り風に揺らめく。辺りには誰もいない。その美しい景色が二人だけの為に存在していた。 「とても静かで綺麗ね」  麗奈が呟く。遠くでは鳥がさえずる。 「本当に綺麗だな」  一臣がそれに答える。涼し気な風が二人を撫でる。 「なんか良いね。こういうの」
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