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一臣は暫くの間そうした後、徐に車を走らせると帰路へと着く。
――――家についたら麗奈に電話しないとな。
――――悲しむだろうがこれ以上は無理だ。
一臣はそんな事を思いながら最後になるであろう景色を虚ろ気に眺め車を走らせ続ける。
――――この景色も見納めか。
――――生活が色褪せるが仕方ないか。
そんな事を考えていると家に辿り着いた一臣は車を駐車場に車を停めマンションに歩みを進め自宅に入ると電気をつけた。
「ふう」
はいると同時に溜息をつく一臣。そして、珈琲をいれる準備を始める。
――――まずは落ち着かないと。
――――電話はそれからだ。
珈琲が出来るとそれを口に運び喉を潤す。
「うっ、苦い」
思わず声を出す一臣。
この時の珈琲はこの後の事を暗示してかのように苦くまずいものだった。俺はそれを誤魔化そうと多めに砂糖を入れるとそれを飲み干した。
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