6章

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一臣はそう自分に言い聞かせると黙々と仕事を始める。その甲斐あってか仕事は無事に終わり、帰り仕度を始めた一臣は七瀬に耳打ちをした。 「それじゃ、後で」  そう告げると3課を後にし、会社を出て車をプランタンに向け走らす。暫く走らせるとプランタンに辿り着き、駐車場に車を止めると中に入り、何時もの席に腰を下ろすと珈琲を注文し七瀬を待つ。程無くして七瀬がやって来て席につき声を掛ける。 「すいません。お待たせしましたぁ」  そう言いながら手を合わせる七瀬。 「いや、待つというほどは待ってないんで気にしなくていいですよ」  一臣はそう言うと笑みを零す。 「それで、早速お話ですが、どうして別れたんですか。お似合いだったのに」 「まあ、そう言ってもらえると嬉しいのですが成り行きというか……」  一臣はそう言うとバツが悪そうに言葉を濁らす。 「一臣さん、それじゃ解らないですよぉ。解るように説明して下さいよぉ」 食い入るように説明を求める七瀬。 「話さなきゃ駄目ですか」 「駄目です」  引く様子の無い七瀬。 ――――こりゃ、梃子でも動かないな。仕方ない。話するか。
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