6章

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 動揺したのか。慌てた様子で話す将隆。 「うん。本当は電話でする話ではないねぇ。だけど、どうしても今じゃなきゃダメだと思ったから電話したのぉ」 将隆が怪訝そうに訊ねる。 「どういう事」 「あのね。僕、一臣さんの力に成りたいの。それには将隆と別れるしかないのよぉ。それに将隆だってその方がいい筈よぉ。麗奈さんへの将隆の想い解っているんだからぁ」 「本気なのか」  一臣さんをそこまで気にしているのか。それと、僕の秘めた思いに七瀬は気付いていた。だから分かれるなんて言ったんだ。全ては一臣さんと俺の為に……。 「本気だよぉ」  僕に出来る事。それは将隆を解放して一臣さんに寄り添う事。付き合えなくていい。傍で慰めてあげたい。将隆わがままな私を許して……。 「――わかったよ。七瀬は言い出したら聞かないからな。何か色々とありがとう」 「んーんっ、こっちこそ色々とありがとう。それじゃ将隆さようなら」  七瀬はそこまで離すと電話を切り夜空を見上げ肩を揺らした。  ところ変わって喫茶店メネシス。丁度この頃麗奈と将隆がメネシスで逢い話をしていた。 「将にい。今の電話は」  心配そうに将隆の顔色を窺う麗奈。
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