6章

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あっ、いや。七瀬が別れてくれって」  表情を曇らせバツが悪そうはなす将隆。 「えっ、じゃあ。別れちゃったんですか」  驚いた麗奈が興奮気味に早口で訊ねる。 「うん。別れたよ。そうするしかなかったからね」  そう言うと将隆は視線をそらし遥か彼方に視線を置く。 「どうしてですか。分かれる理由ないと思いますが」  納得いかない様子の麗奈。 「理由はあったんだよ。だから別れるしかなかったんだ」  ゆっくり噛み締める様に語る将隆。 「理由って何ですか。私が関係してるんですか。誤解なら私から話させて貰います」  麗奈が身を乗り出して話を続ける。 「違うんだ。麗奈聞いてくれ。七瀬が僕に別れてくれと言ったんのは僕に他に好きな人がいたからなんだ」  なだめる様に話す将隆。 「嘘よ。そんな人いない筈」 「居たんだ。ずっと隠していただけで」 「じゃ、誰なんです。その人は」  そんな人はいない筈。今まで聞いたことないもん。これはきっと私を気遣っての嘘。将にいが二股する様な人じゃないのは私が良く知っている。
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