6章

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「麗奈。君だよ。七瀬と付き合う前からずっと愛してたんだ。それを隠して生きてきてたんだよ」  やっとこの想い麗奈に伝えられた。例え上手く行かなくても後悔はない。タイミングは最悪かもしれない。けど、このタイミングしかきっと言えなかっただろう。このタイミングを作ってくれた七瀬に感謝しないとな。 「嘘、私なの」  えっ、本当なの。まさかこのタイミングで冗談は言わないよね。てこと本当って事だよね。そんな事言われたら私だって……。 「嘘じゃない。前からずっと愛してたんだ。それに気付いたのは麗奈が一臣さんと付き合った時だよ。ただの幼馴染じゃないってね」  真剣に麗奈を見て話す将隆。 「そうなんだ。将にいありがとう。そう言われたら私だって将にいの事特別にみてたよ。特別にみちゃいけないって思ってたから黙っていたけど……」 「それってどういう意味」 「私も将にいの事が好きだったの。だけど将にいの相手にはふさわしくないって思ってて。あれっ、こんなタイミングでいう話で無いね。けど、将にいの事は男の人して好きだよ」  嘘いだろう。麗奈がそんな事を思っていたなんて。僕がもう一歩踏み出せていたなら上手く行っていたのか。意気地の無かった僕が恨めしい。勇気があったなら遠回りしないで済んだ筈。全ては勇気のない僕のせいなんだ。そんな僕が何ができるだろう。僕が出来る事。それは目の前にいる麗奈に寄り添い愛する事ぐらいだ。だから一歩を踏み出すんだ。 「こんな状況であれだけど、麗奈を思う気持ちは本当だ。だから、麗奈。俺と付き合ってくれ。状況が状況だからすぐに返事は要らない。時間をやるから良く考えて欲しい」
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