幼き思い出

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幼き思い出

 わたしはとっても活発な子で、父が男の子を欲していた理由もあり、幼い頃のわたしの髪型は丸刈り。  右手にバットを持ち、白いタンクトップ姿の半ズボンで笑う写真ばかり。 「次こそ、男の子を」  父が望む男の子になり続けていたわたしに、妹か弟ができる。臨月のお腹に父が、懸命に話しかけていたことを思い出す。 「男の子を」  父に真似てわたしもお腹の子に話しかける。エコー検査で性別は知れたのだが、母は父が男の子を欲していた願望が強いことを知っている。  出産まで性別を明かすことがないよう産科医の先生にお願いしたらしい。  オギャア・・・  オギャア・・・  生まれたのは女の子。
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