1583人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
店内は古い内装でテーブルがところ狭しと並び、客たちがぎゅうぎゅうに詰め込まれている。
筋肉質の男たちが酒を煽り、痩せた男たちは隅でカードゲームをしている。
しかしリエルが店の中へ入ると、男たちの視線が集まった。
「リエルさま、このようなところに……」
怯えるエマと対照的にリエルは堂々としている。
すると、男のひとりがリエルに声をかけてきた。
「おい、嬢ちゃん。女やガキが来るところじゃねぇぞ」
びくっと怯えるエマと違い、リエルは冷静だ。
男の存在を完全に無視して、視線を別のところへ向ける。
(たしか、のちに捕まった犯人は痩せ型で眼鏡をかけていて右目の下に泣きぼくろがあったわね)
リエルは店の隅でカードゲームをしている集団の中にその人物を見つけた。
そちらへ向かおうとしたら、男にがしっと男に肩を掴まれた。
「おい、俺を無視するな!」
エマが「ひっ……!」と悲鳴を上げた。
しかし、リエルは冷静に男を見上げて睨み据える。
「断りもなく女に触るのは失礼よ」
「この……生意気な!」
男がリエルに向かって手を振り上げた。
エマは「きゃあっ!」と悲鳴を上げ、リエルは殴られる覚悟をしたが。
まったく別の何者かがそれを阻止した。
最初のコメントを投稿しよう!