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リエルはとっさに継母の手を掴んで止めた。
そして、継母を見据えて冷静に話す。
「これ以上顔に傷をつけられると、お嫁に行けなくなります」
すると、穏やかだった継母が激変。
怒りの形相でリエルを罵った。
「ちっ、生意気な娘! お前の母親にそっくりだわ。病弱で役に立たない虫けら以下のゴミが」
母親を悪く言われてとっさに反論しようとしたが、寸でのところで耐えた。
今の自分はあまりにも立場が弱く、この状況を打破する力がない。
(ここで逆らうのは得策ではないわ)
リエルは諦めて、しおらしい顔でふたりに深く頭を下げた。
「わかりました。予定通り王宮へ参ります」
父と継母は一瞬驚いたが、それでも父はリエルを睨んで言い放つ。
「当たり前だ。お前に選択肢などない!」
その後、父にぐちぐちと生意気だなんだと散々言われたが、リエルは黙ってやり過ごした。
頭の中では別のことを考えている。
これから、自分の身を守る術を考えなければならない。
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