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リエルは鏡台の前に座り、自分の姿を見つめる。
くすんだ茶髪に碧い瞳。地味な顔立ちだが、それでも生きていることをあらためて実感する。
いつも通りの自分の顔だ。
そして、鏡越しに背後にいる使用人を見つめた。
まだ若い新人のようで少し緊張しているのか、おずおずとリエルの様子をうかがっている。
「あなた、名前は?」
「エマでございます」
声をかけるとエマは慌てて返答した。
リエルはなるべく優しく話をする。
「エマ、出かけるから支度を手伝ってちょうだい」
「かしこまりました」
エマは新人だが手慣れているのかリエルの髪を丁寧に梳き、化粧をしっかり施した。
そして、リエルは地味な色のドレスを着る。
せっかく戻ったのに、縁談を回避することができなかった。
それなら、何としてもアランに婚約破棄してもらうしかない。
同じことを繰り返して殺されるなどごめんだ。
(あと、ノエラの本性はしっかり暴いてやるわ)
リエルは固く決意した。
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