2、気づいたら1年前だった

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 ディアナ王国は土地の多くが荒地で作物が育ちにくく、他国からの交易に頼っている。  貧富の差が激しく、王都は豊かだが貧民街が多く犯罪も多い。  まさに今、リエルが足を運んだ場所は、そういった治安の悪い地域だった。  ここを訪れたのには理由がある。  1年前の今頃、新聞で報じられていた酒屋の客が毒にやられた事件。  数人が死亡、十数人が意識不明という非常に痛ましい事件だった。  この店では麻薬を密輸しており、たまたまそこに遅効性の毒の粉末が紛れ込んでいて、店主が料理に使ってしまい、それを食べた客たちが次々苦しみながら倒れた。  その密輸集団は隣国アストレア帝国の人間だった。 (そのせいでアストレア帝国とちょっとした外交問題になったのよね)  リエルは試してみたかった。  その事件を回避することができれば、もしかしたら未来が変えられるかもしれない。 「エマ、あの店に行くわよ」 「え? リエルさま、お酒を飲まれるのですか?」 「興味本位よ」  リエルは古い酒屋へと足を向けた。
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