1985人が本棚に入れています
本棚に追加
「リエル、我が弟ユリウスの暗殺と国王陛下暗殺未遂の罪でお前を処刑する」
リエルの目の前には愛する夫アラン王太子殿下の姿があった。
けれど、彼はその手に剣を持ち、それを妻であるリエルに突きつけている。
「誤解でございます! 私ではありません。何かの間違いでございます!」
必死に声を張り上げて無罪を主張するも、怒り狂ったアランの耳には届かない。
リエルは身を乗り出すが、じゃらっと硬い鎖が手に食い込んで重苦しい。
王宮の地下牢で、リエルは両手を後ろで拘束されたまま、数日間閉じ込められた。
先ほどアランの告げた罪状によって。
どうしてこんなことになってしまったのか、リエルにはまったくわからない。ただ、王太子妃として必死に働いて過ごしてきただけなのに。
衛兵たちがリエルの背後から剣を突きつけている。
しかし、この絶望感の中で唯一、麗しい瞳で涙を流す人物がいた。
ゆるふわの美しい金髪に色白の肌をした女。
リエルの親友ノエラだった。
最初のコメントを投稿しよう!