1、夫と親友に殺された日

2/11
1590人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
「リエル、我が弟ユリウスの暗殺と国王陛下暗殺未遂の罪でお前を処刑する」  リエルの目の前には愛する夫アラン王太子殿下の姿があった。  けれど、彼はその手に剣を持ち、それを妻であるリエルに突きつけている。 「誤解でございます! 私ではありません。何かの間違いでございます!」  必死に声を張り上げて無罪を主張するも、怒り狂ったアランの耳には届かない。  リエルは身を乗り出すが、じゃらっと硬い鎖が手に食い込んで重苦しい。    王宮の地下牢で、リエルは両手を後ろで拘束されたまま、数日間閉じ込められた。  先ほどアランの告げた罪状によって。  どうしてこんなことになってしまったのか、リエルにはまったくわからない。ただ、王太子妃として必死に働いて過ごしてきただけなのに。  衛兵たちがリエルの背後から剣を突きつけている。  しかし、この絶望感の中で唯一、麗しい瞳で涙を流す人物がいた。  ゆるふわの美しい金髪に色白の肌をした女。  リエルの親友ノエラだった。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!