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やがて、険しい顔つきをした侍女長が現れた。
前回はどうすれば侍女長に気に入ってもらえるか、そればかり考えて彼女の顔色をうかがっていた。
しかし、どんなに努力をしても気に入られることはなかった。
下手に出るとますます侍女長は見下すだろう。
リエルはしっかり彼女を見据え、堂々とした姿勢で出迎える。
「何かご用でしょうか?」
「私の侍女を返してちょうだい。身のまわりの世話はあの子にしてもらうの」
「お言葉ですが、あの者はまったく使えません。使用人以下です。あのような者が次期王太子妃さまの侍女などふさわしくありません」
さも当然のことのように言い放つ侍女長に、リエルは鋭い視線を投げつける。
リエルは侍女長へ詰め寄った。
「エマは私の侍女なの。あの子を戻しなさい。これは次期王太子妃である私の命令よ」
まさか反論されるとは思わなかったのだろう。
侍女長の表情が引きつった。
その背後で使用人たちもざわついている。
「あと、これは何かしら?」
リエルがテーブルの料理を指さすと、侍女長は表情を硬くした。
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