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そこは辺境にある貧民街だ。
町中のあちこちに飢えで倒れた人々の姿がある。
黒いフードをかぶった男たちが数人、とある古い建物の中に入っていった。
そこには同じようなフード姿の人間が集まっている。
ここは闇商人の取り引き現場だ。
違法な品の売買だけでなく、人買いもおこなっている。
頼まれれば暗殺も請け負っていた。
最近アストレア帝国の皇太子によって動きにくくなっている。
彼らは皇太子の暗殺を目論んでいた。
綿密な計画を練り、皇太子を殺害するチャンスをうかがっている。
そんなときに現れたのが、アランだった。
アランは大量の金貨の入った袋を彼らに見せつけて言った。
「俺をアストレア帝国へ連れて行け」
アランは皇太子とともにいるリエルに近づくために、この暗殺集団に紛れ込むつもりだった。
(リエル、お前のせいで俺の人生はめちゃくちゃになった。お前が手に入らないなら……)
アランは憎悪で歪んだ表情で、口もとだけ笑みを浮かべる。
(お前を殺して俺も死ぬ)
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