40、最後の危難

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 アラン失踪の件はアストレア帝国の皇宮にも入った。 「ディアナ王国からの連絡です。アラン王子が逃げ出したそうです。国境を越えた可能性があると」 「何だって?」  騎士のルッツから報告を受けたグレンは驚き、頭を抱えて唸った。 「本当にあの国の警備は緩いな」 「我が国に侵入する可能性があります」 「だろうね。アランの狙いは俺かリエルだ」 「検問を強化しておりますが、すでに入り込んでいる可能性も」  グレンは苦悶の表情で嘆息する。  ルッツはもうひとつ付け加える。 「あと、実は皇家に怨みを持つ者たちの集団と行動しているという情報も」 「それはまずいな。アランひとりなら何とかなるが、一斉に来られると」 「治安隊に警備の強化をさせて、我々も全力で行方を追います」  グレンは神妙な面持ちになる。  せっかくの晴れの日だというのに、それどころではなくなった。  同時に、いやな予感がする。 「今日はリエルの皇宮入りの日だ。急いで連絡を」 「はい」 「いや、俺も行く」 「え?」  グレンは騎士たちとともに馬に乗ってリエルの住む屋敷へ駆けていった。
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