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皇宮入りを控えていたリエルはこの日、エマに髪型を整えてもらっていた。
「今日は結い上げてみました。いつもと雰囲気が違って見えますよ」
「あら、本当。大人びて見えるわね」
鏡で確認したリエルは満足して微笑む。
「本当に素敵ですー! 皇太子殿下はすごく喜んでくださるでしょうね」
「ええ、そうね」
(せっかく着飾ってもどうせ部屋に閉じ込められるのよ)
リエルは頬を赤らめながら、複雑な心境になった。
エマはにこにこしながら茶化すように言う。
「リエルさま、真っ赤になっちゃって可愛い」
「うるさいわよ。早く着替えをしましょう」
「はいっ!」
リエルに用意されたのはワインレッドのドレスだ。
大きな花飾りとレースが施され、銀の宝石が散りばめられている。
動くと照明の光の加減できらめて見える。
準備が整ったところで使用人が声をかけてきた。
「リエルさま、皇宮からお迎えが参りましたわ」
「すぐに行くわ」
リエルは名残惜しそうに数ヵ月暮らしたこの屋敷に別れを告げた。
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