1615人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
そこはリエルに与えられた書庫だった。
背後には壁に沿って本棚が並び、執務机には大量の書類の山だ。
リエルはそれらすべてに目を通し、淡々と作業をこなしていた。
しばらくするとエマがお茶を淹れて持ってきた。
「こんなに大量の仕事を押しつけられるなんて」
「平気よ。今日の分はすでに終わっているから」
「ええっ? この量を半日でですか!?」
エマは積み上がった書類の山を見て驚愕した。
(初めてのときはわからないことが多くて時間がかかったけれど、2回目ともなれば楽だわ)
リエル背伸びをすると、紅茶をひと口飲んだ。
「エマ、休憩がてら庭園を散歩したいわ」
「はい。では一度お部屋に戻って着替えられますか?」
「いいわ。このまま行きましょう。獲物は泳がせておかなくちゃ」
「……はい?」
リエルはふっと笑みを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!